2010年5月18日火曜日

史料演習 二

『ロシア史料に見る18~19世紀の日露関係』 『東北アジア研究センター叢書』
『近世後期政治史と対外関係』 藤田 覚

2、
をろしやの船一艘(いっそう)長崎にいたるためのしるしの事
爾等(おれら)諭すむねを承諾して長崎にいたらん(らん=らむ=推量の助動詞)とす、抑(そも)切支丹の教(おしえ)は我国の大禁なり、其像およひ器物、書冊等をも持来ることなかれ、必害せらるる(せ=使役 らるる=被動)ことあらん、この旨よく格遵(かくそん)して長崎にいたり、この子細を告訴(こくそ)すへし、なを研究して上陸をゆるすへきなり、それかために此一張をあたふる(あたえる)ことしかり(然り=そのとおりである)

石川将監 判
村上大学 判

此度政府の指揮を奉して、xxxに給ふ。


3、
六月廿四日、幸太夫、磯吉(いそきち)請取(受け取り)引替(引き替え)遣す(派遣、与える)

 今度送り来る漂流人幸太夫・磯吉、松前地において請取処の証、件(くだん=前に述べたこと)のことし、

 寛政癸丑年  六月

 石川   朱印
 村上   同

4、
六月廿五日、アタムへ(らくすまん)へ通詞を以申聞(もうしきけ=言いきかせる=A、十分に説明して納得させる。教えさとす。B、話して聞かせる)、通詞認め(したためる=文章を書く)差出し候事

につほん(日本)のをん(御)こくほう(国法)をんかきつけ(国法の書きつけ(心覚え程度に書いたもの))わたしくわしく(詳しく)をんとききかせ(説き聞かせ=よくわかるように説明する。聞かせる=相手が理解したり、納得したりするように言う。让别人听到,让别人明白。)くたされかしこまり、ほんごく(本国)へかえり(帰り)そのとふり(通り)もうすへくそろいしやう。

5、

六月廿七日、異国人御暇(いとま=別れてさること、辞去)被仰渡候処(おおせわたされ=仰せ渡すの被動、仰せ=言うことの尊敬語)処、通詞申聞(もうしきけ)候は、日本に而(にて)通弁(=通訳)相分かり不申(もうさず)候趣にて候哉、又は相分り申候哉、相分り候はは、右の趣御役人よりの挨拶有之(これあり)候様いたし度(だく)旨に付、右之通りに挨拶有之(これあり)候。
 
 漂流人送り来る始末相わかり、且日本の御国法仰渡され書のよし、先刻宣諭使申され候事にて候、
 右挨拶の趣書取呉(かきとりくれ)候様申聞候に付、相伺右の通認(みぎのとおりしたためる)。

6月27日、ロシア人に使者と会うことが許されるが、通詞が申すところでは、日本では通釈がよくわからない様子なのか、又は分かるのか、わかるのであれば右のこと御役人からの挨拶があるようにしたいので、右の通りに挨拶をした。

宣諭使が申されたことである。右の挨拶の旨を書き取ってくれるように言うので、内容を聞いて右のように書き記した。

8、
ヲロシア書翰之写

近く近所の事に御座候間(ので)、下たの者に申付(申し伝えること)渡海通商(あきない)の事こひねかひ(乞い願い)に遣し候て、ほうばい(朋輩)同様に寄合(寄り合せ)吟味(ぎんみ=調べる)相談の上、通商首尾好いたし候はは、誠に仕合(幸せ)に存(存じ)候得共、度々長崎江(へ)使者を遣し候得共、只返事もなく返べん(返弁)なされ候ゆへ、唐太それに DD よって最初願ひ置く候得共聞受なく、夫故此度此元(ここもと)の手並見せ申候て、きかない時には北の地とりあげ可申候、ならふ事ならは、返事の便りにても済ます事に御座候、唐太又は島嶋ウルツフまで赤人いつでもやりますによって、追ちらしてやります、又はこひねかひ之筋叶はせ候はは、末代こころやすく致度心懸に御座候、左様無御座候得は、又又船船沢山に遣し、此ことくにいたし可申候、

 ヲロシア

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